先日、作付け計画の立て方をご紹介しましたが、今回は、その作付け計画に輪作を取り入れた場合の作付け計画の立て方をご紹介します。
目次
作付け計画に輪作を取り入れる

え?年間計画を立てていたのに、輪作してなかったの?と言われそうですが、厳密にいうと輪作できていませんでした。出来る限り連作障害にならない様に畝管理をしていましたが、計画を立てるのがホントに大変になってきました。
先日、輪作について記事を書いている時に、野菜の輪作年限を見ていて、「あーこんなにちゃんと間空けてないな・・・」「やっぱ輪作したらローテーションするだけだから簡単だよね・・・」と、ふと思ったのがきっかけです。

そこで2020年は、きっちりと輪作を取り入れて連作障害を避けて野菜づくりが出来るように、作付け計画を練り直そうと思います。
輪作を取り入れるメリット
輪作のメリットは、言うまでもなく連作障害を回避した畝管理がしやすいことです。今までは、作付けの年間計画と睨めっこしながら、「あーでもない、こーでもない」といいながら時間をかけて計画を練ってきました。
しかし、それでは野菜の輪作年限をきっちりと空けていくには少し困難な状況で、計画を立てるのにも時間がかかるし効率が悪いと思っていました。また昨年の生育不良であった野菜たちは、少なからずその影響を受けていたのかもしれないと思い、今回より輪作で取り組んでいこうと思い立ちました。
今更、輪作を取り入れて行くのは無理があるのですが、とりあえずやってみようと思います。

これが畝の配置図です。⑪⑫はニラ・アスパラガスですので使用できません。計10個の畝でローテーションを組むことになります。
輪作を取り入れるデメリット
輪作を取り入れた計画を立てる時、輪作年限の一番長いエンドウ(5年)をローテーションに組み込むと必要となる畝数が6本必要になります。使用する畝が2つに増えるとその倍必要になります。
私の家庭菜園で使用できる畝数は10個ですから、この黒枠で囲った緑の畝は、5年目には戻ってきてしまいます。ということは、輪作年限は4年しか守れないということになります。
もうお分かりですよね。アブラナ科、ナス科の野菜が多いからと言って3畝を使うと、10畝しかない現状では、2年後には元の畝に戻ることになります。これが輪作のデメリットです。きっちりと輪作年限を守ると最低6畝必要であり、使用する畝が増えると、必要となる畝も比例して倍になります。
必要畝数=使用する畝数×(最大輪作年限+1年)
一番輪作年限の長いナス科のトマトやナスは、接木苗を使用すれば連作障害にならずに栽培できる可能性はありますが、マメ科のエンドウは接木苗なんてありませんのでそうはいきません。

これを踏まえて考えていかないといけません。
2020年の作付け計画 輪作バージョン

私の家庭菜園で一番需要があるのが玉ねぎ、ジャガイモです。特に玉ねぎは、保存状態が良ければ自給自足が可能な野菜ですので、これは確保していきたいと思っています。さらにヒガンバナ科は、輪作年限が1~2年と比較的短い期間なので、1年程度空けたら大丈夫かと思っています。
もう一つジャガイモですが、ジャガイモを輪作に取り入れようとすると、どうしてもローテーションにナス科が2つ入ってきてしまいますので、上手く回りません。ジャガイモは、ネギと連作が可能なようですので、それでやってみようかと考えています。

⑥⑦の畝をジャガイモとネギの連作に使用して、この2畝で春と秋の収穫が出来ればと思います。そうなると、使用できる畝が、9個になってしまいます。2畝ずつ使用していたのでは、輪作年限が守れそうにありません。
仮に各科で使用する畝を1畝に限定したとすると連作年限は守れますが、ナス科やアブラナ科など種類が豊富な科の野菜が1種類しか植えることが出来なくなります。それでは野菜づくりの楽しみが半減してしまいます。

どうやったら上手く輪作できるようになるのかな?とりあえず、まずは育てたい野菜を整理します。
何を栽培したいの?
各グループごとに植えたい野菜を挙げて整理してみたいと思います。
春夏野菜 | 秋冬野菜 | 越冬野菜 | |
イネ科 | とうもろこし | ||
ナス科 | ナス ミニトマト ピーマン ジャガイモ | ジャガイモ | |
ウリ科 | キュウリ かぼちゃ スイカ | ||
マメ科 | 枝豆 インゲン | エンドウ | |
アブラナ科 | 白菜 キャベツ 大根 | ||
キク科 | レタス リーフレタス 春菊 | ||
ヒルガオ科 | さつまいも | ||
ヒガンバナ科 | 玉ねぎ ニンニク ワケギ | ||
アオイ科 | オクラ | ||
ヒユ科 | ほうれん草 | ||
セリ科 | ニンジン |
とりあえずこんなところでしょうか。まずは、それぞれの優先順位を決めていきます。
春夏野菜
- 絶対に作りたい:とうもろこし ジャガイモ ナス ミニトマト 枝豆
- 出来たら作りたい:ピーマン かぼちゃ インゲン
- なくてもいい:オクラ きゅうり スイカ
秋冬野菜
- 絶対に作りたい:キャベツ 白菜 大根 レタス ジャガイモ
- 出来たら作りたい:リーフレタス さつまいも ニンジン ほうれん草
- なくてもいい:春菊
越冬野菜
- 絶対に作りたい:玉ねぎ ニンニク
- 出来たら作りたい:エンドウ ワケギ 春キャベツ
- なくてもいい:ネギ
畝の配置を考える
上記で育てたい野菜をある程度絞りましたが、ナス科、アブラナ科はやはり2つ以上育てたい野菜がありますね。これを上手く輪作しようとすると、ローテーションを2つに分ける必要があると思います。
そこで、図1のように青線のところで上段と下段に分けてローテーションを組もうと思います。上段は5畝、下段は3畝になります。


下段が3畝では畝が少なすぎるな・・・。⑪のニラをどこかに移植したら4畝確保できるんだけどな~。
①ニラを移植すれば・・・

下段の④(図2)に植えているニラを黒枠のところに新たに小さな畝を立てて移植すれば、4畝確保できます。今年のニラの消費量を考えると、4株程度あれば十分賄えるので、黒枠のところでちょうどいいかもしれません。これで下段は4畝確保できそうだけど、それでも輪作年限は3年が限界です。
②ジャガイモの畝を1つにすれば・・・

ニラを移植して下段は4畝確保しても、輪作年限は3年が限界です。輪作年限3年までの野菜を栽培してローテーションすれば4畝でもいいかなと思っていますが、ジャガイモとネギの連作用の畝を使えばその問題も解決できます。
ジャガイモとネギの連作用の畝は、図2の赤枠の2畝ですが、ジャガイモとネギの連作だけなら1畝だけでも大丈夫なのかと考えています。その畝を2つに割れば(図3)、上下段ともに1畝増やすことが出来ます。ただし畝がかなり小さくなるので、上段の輪作用には、収穫量の点で力不足感は否めません。さらにジャガイモの畝が一つになるということは、ジャガイモの栽培は年1回に限定されてしまいます。

連作用の畝が1つになると秋じゃがが作れなくなりますね。さて、どうしたものか・・・悩ましいです。
輪作を取り入れた作付け計画

ジャガイモの畝を使用せずに組んだ輪作の作付け計画です。
ジャガイモの畝を使用しない場合

ナス科、アブラナ科を出来るだけ上下段に1つずつにしています。大根は輪作年限が1~2年と短いので、あえて1年周期で加えています。越冬野菜については、ローテンションした際のことを考えて記載しています。
畝が5つですので、輪作年限5年の野菜を植え付けることが出来ません。そうなると、エンドウの栽培は今後やめることになります。ナス科は接木苗で対応します。
ジャガイモの畝を使用する場合

上下段ともに畝が確保できますので、輪作年限をある程度守りつつ、数多くの野菜を栽培することが出来ます。ただしジャガイモは秋じゃがの栽培が出来なくなります。ナス科は接木苗で対応です。

やはりジャガイモの畝を1つにした方が、作りたい野菜を我慢せずに栽培できますね。
輪作にない野菜づくりはプランター栽培で!
作りたい野菜リストの中で、プランター栽培で収穫量がしっかりと望めるものは、積極的にプランター栽培を取り入れて行こうと思います。水菜、春菊、小松菜、リーフレタスなどですね。夏野菜のピーマンも2株もあれば十分な収穫量が望めると思いますのでプランターでいけるかな?と考えています。
露地栽培の方が、収穫量の期待値は大きいですが、限られたスペースでの家庭菜園では、使える畝に限界がありますので、様々な方法を取り入れて野菜づくりをしていこうと思います。

露地栽培だけではなく、幅広く自由に自分なりの野菜づくりが楽しめるのも家庭菜園ならではだと思います。
まとめ

今回、輪作を取り入れた作付け計画を考えてみましたが、ジャガイモの畝を使用して畝を増やした方が良さそうです。
輪作は、一度きっちりとローテーションを作ると、栽培する畝を年ごとにずらしていくだけですので、管理が非常に簡単になります。しっかりと作りたい野菜の優先順位を決めて、プランター栽培などを取り入れることで数多くの野菜づくりが出来ますよ!
最後まで読んで頂いてありがとうございました。